急性散在性脳脊髄炎について
( Acute disseminated encphalomyelitis : ADEM )


(1)各種のウイルス感染あるいはワクチン接種後4〜21日目に、複数の病巣による神経症候を急性にきたす脱髄性脳脊髄炎。
(2)病理学的には脳・脊髄のあちこちの小静脈周囲にリンパ球浸潤と脱髄を認める。
(3)臨床症状としては、頭痛、発熱、悪心、嘔吐、意識障害、精神症状、痙攣などの脳炎症状を主体とする場合と、対麻痺(両下肢麻痺)、分節性感覚障害、排尿障害など脊髄症状をを主体とする場合があり、また末梢神経障害を呈する場合もある。
(4)ウイルス感染の中では、麻疹に多く、そのほか水痘、ムンプス、インフルエンザなどの感染後に見られることがある。
(5)治療には、副腎皮質ステロイドが用いられる。
(6)予後は比較的良いが、神経後遺症が10%程度ある。