肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNP)
肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNP) (不活化ワクチン)
はじめに:
日本人の死因の3番目に肺炎は位置します。高齢者を中心にインフルエンザ等をこじらせて発症するケースも多いのですが、最大の原因は肺炎球菌によるものです。
市中肺炎についてのデータでは、細菌によるものが最も多く、全体の75%以上を占めています。その中でも肺炎球菌によるものが最も多く、全体の3分の1を越えています。
アメリカでは65歳以上のすべての高齢者は公費でこの肺炎球菌ワクチンを接種できるようになっています。
接種対象者:
《成人》
(1)心血管系疾患、肺疾患、糖尿病、アルコール依存症、肝硬変、または髄液漏あるいは65歳以上の者
(2)脾機能不全、無脾症、ホジキン病、リンパ腫、多発性骨髄腫、慢性腎不全、ネフローゼ症候群、または臓器移植などのように免疫機能不全を伴う場合
(3)不顕性または顕性HIV感染成人
《小児》
(1)2歳またはそれ以上の小児で解剖学的または機能的無脾症、鎌状赤血球貧血、ネフローゼ症候群、髄液漏、および免疫不全を伴う状態
(2)2歳以上の不顕性または顕性HIV感染者
*2才未満の者には投与しない。
接種方法:
1回0.5mLを筋肉内または皮下に注射
追加接種:
2回目の追加接種を行うと局所反応が強度にでるなどの副反応が心配されるので、原則として、1回だけの接種となっていたが、厚生労働省は平成21年10月18日に再接種を認めました。再接種の対象者は、重症化するリスクの高い65歳以上の高齢者や基礎疾患を持つ患者で、初回接種から5年以上経過していることが条件となっています。
抗体価の持続時間:
約5年
抗体獲得までの期間:
2~4週
接種時期等:
いつでも可。
生ワクチンの接種を受けた者は、通常、4週間以上、また、他の不活化ワクチンの接種を受けた者は、通常、1週間以上経過した後に本剤を接種する。ただし、医師が必要と認めた場合には、同時に摂取することができる。従って、インフルエンザワクチンとの同時接種は可能だが、各ワクチンを各腕に別々に注射することになっている。
副反応:
主なものは局所反応で10%程度に発赤、腫脹があり、約半数に疼痛が認められている。発熱は1~2%程度で、悪寒、頭痛、倦怠感、違和感、筋肉痛などを訴えるものもあるが、いずれも軽度で2~3日で消失する一過性のものである。
保険適用:
2歳以上の脾摘患者における肺炎球菌による感染症の発症予防