過敏性腸症候群
2017/04/09消化器
過敏性腸症候群
はじめに
便通異常と腹部症状はしばしば合併するが、便通異常が必ずしも腹部症状を合併するとは限らない。ストレス負荷時に症状が出現しても、それ以外のときに症状がなくなることがある。しかも、注腸造影や大腸内視鏡などの大腸の形態学的検査、血液生化学検査、内分泌学的検査など、一般的検査で症状の原因となる所見が同定できないとき、これを1つの病態として捉えるのが過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome; IBS) である。IBSの世界的な専門研究者のグループであるローマ委員会が2006年5月に、これまでのIBSの診断基準を一新したRome Ⅲを発表した。
過敏性腸症候群*診断基準(Rome Ⅲ)
過去3ヶ月間、月に3日以上にわたって腹痛や腹部不快感**が繰り返し起り、次の項目の2つ以上がある。
1)排便によって症状が軽減する
2)発症時に排便頻度の変化がある
3)発症時に便形状(外観)の変化がある
* 6ヶ月以上前から症状があり、最近3ヶ月間は上記の基準を満たしていること
**腹部不快感は、痛みとは表現されない不快な感覚を意味する。病態生理学的研究や臨床研究に関しては、週に2日以上の痛み/不快感があるものを適格症例とする。